IT企業が電話応対しないワケ

ちょっと釣りっぽいタイトルだが、

電話も通じぬIT企業、増える「窓口はメールのみ」

って感じの、明らかに対ネットむき出しのミスリード狙いの記事があったので、IT企業(ここではポータルなどサービス提供体)が電話応対をしない理由を書いてみたい。
個人的には、場合によっては電話応対をするべきだと思う。ただし「やっぱりできない」理由が一応あるのだ。

■コストの問題

これは単純。一日中張り付かなければならない電話と自由なときに返信できるメールでは、対応に必要なコストがまったく異なる。
前者は専門の要員が必要だが、後者であれば他の仕事をしている人が兼任で行うことも可能だ。

■テンプレの有効利用

「○○の操作が分からない」など、クレームの90%は前例がある。それを都度話して聞かせるより、テンプレをコピペして返すほうが圧倒的に速い。
また、PCなどを使う関係でURLを提示するにはメールのほうが便利である。

■著作権の問題

ネットでありがちなのが、作品の盗用などの著作権に関するトラブル。
その際「これは私のだ」という人が必ず現れるのだが、実際にその人かどうか確認するすべがない。これは電話口でどんなに話しても解決する問題ではなく、時間の無駄なのだ。

■詐欺などの犯罪に関して

某オークションなどで、中々後を絶たない(まぁ完全になくなるわけはないけど)詐欺。確かに、これは金銭にかかわる重大な問題だ。
しかし、たとえばフリーマーケットで「本物だ」と思って買ったものがニセモノだったとき、どうするだろうか。
イベントを運営した市役所にクレームを言って聞き入れてくれるだろうか。

ヤフーなどは正にこの論理だ。自分たちはあくまで「場を貸しているだけ」だから責任は取れない。
最近、ようやく詐欺に対して本腰を入れて取り組むようになったものの、一時は本当に「自己責任」の一点張りだった。だまされたほとんどの人は、泣き寝入りするか、動くこともない警察に届けるしかなかった。

■コミュニティの運営

mixiのような企業でもっとも多いクレームは、間違いなく個人間のトラブルだろう。「あの人はこんなにひどいことをした。すぐに退会させろ」
しかしこれは、どっちが悪いかなど第三者が判断するのは非常に難しく、明らかな違反行為以外は介入する余地がない。
それを電話口で延々言われても、「個人間で解決してください」というしか答えようがないのだ。これも明らかなタイムロスになる。

他にもまだあるけど、大体はそんなところだろうと思う。
そして、これらにはある共通した問題がある。ネット上の本人確認性の難しさだ。


ある商品を購入した消費者が販売元に問い合わせをする。この場合、実際に買っていない人がすることはまずないだろうから、本人かどうか確認する必要はない。企業にとっては大事な顧客である。
しかし、詐欺にあったから何とかしてくれとか、オレのものを勝手に使うなとかは、本人かどうか分からないとどうしようもない。
本当にそいつが詐欺をしたのか。本当に頼んだものが届いていないのか。本当に別の誰かがIDをのっとって出品や落札をしたのか。それを調べるのにはそれ相応の時間が、どうしてもかかってしまう。

もう一度言うけど、僕は電話対応自体を否定しているわけではないし、コミュニティ運営会社であるにもかかわらず、電話対応に莫大な投資をしたディー・エヌ・エーはたいしたものだと思う。しかし、やはり前述のように電話をしたところでなんとも解決しない問題が多いのだ。


よくも悪くも、この定義はYahoo! JAPANが作ったものだと思う。他の企業はそれに追随した。
完全な無応対から菓子折りを持って自宅に向かうまで、顧客対応にはさまざまな段階があるけれど、どこかで線引きをしなくてはならない。その「線」が今のところメール対応なのだろう。

ただこの傾向は、時代の流れとともに当然変わっていくのだろうという気はしている。

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