[映画]『あるいは裏切りという名の犬』 オリヴィエ・マルシャル監督

評点:60点(100点満点中)

一部のファンに熱狂的な支持を受けている、実話を基にしたというフランス映画を遅ればせながら観賞。

舞台はパリの警察署。
酒の席で拳銃をぶっ放すような、粗暴者の集まりである主人公レオのチームと、対照的に厳格さで組織の統率を図る、そのライバルであるクラン。

レオは出世にあまり興味がないが、クランはそのためにあらゆる手段を使おうとする。
しかし、上層部から評価されているのはレオの方だった。

そんな折、クランはとある作戦で大失敗を犯し、処罰の対象となる危機に陥る。
しかし、土壇場でクランはレオのある弱みを握り…

ダニエル・オートゥイユと、ジェラール・ドパルデューの二人がとにかく渋い。
「燻し銀」という言葉はこの二人のためにあったのか、というくらい。

「映画は目で演じる」と言われるが、正にそれを地でいく快演であったと思う。

サスペンス、ヒューマン、アクションなど基本的な要素を満載し、映画としての完成度も非常に高かったのだが、残念なのが残り30分だった。

いよいよクライマックス、主人公に非常に難しい選択が迫られる。
どれを選んでも辛いものなのだが、観ている側は「一体どうするのだろう」と、重たい気分ながらもある種の期待をする。

しかし、突如現れるバレバレの伏線と、予想通りの結末。
このような結末にしたことで、それまでの彼らの葛藤や恨み、妬み、悲しみ、そして裏切りがすべて無になってしまった。たとえどんなに後味が悪くとも、主人公に決断をさせ、それを尊重するラストにするべきだった。

また欲を言えば、かつて二人は親友であったということだが、それを少しでも描写していればもっと感情移入ができていただろう。

作品全体はよかっただけに、何ともいえない「残念感」が残ってしまった。

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