TwitterになりそこねたYahoo!

「思ったことをひたすらつぶやき続ける」
他にもさまざまな要素があるものの、基本的にはこれだけで爆発的な人気を持つことになったTwitter。しかし、実はこのTwitterになり損ねたサービスが米国のYahoo!にあった。それはつい先日終了することが決まった「Yahoo! 360°」だ。

Yahoo! 360°は2005年3月、完全に後塵を拝したMySpaceに追いつくべく開始されたSNSである。
日記や写真、プロフィールなど、SNSとして最低限の機能がすべて備わっていた。

そして、Yahoo! 360°には「blast」と呼ばれる特徴的な機能があった。これは「何気ないひとこと」を書くものであった。
吹きだしの形にデザインされた見た目は、現在のmixiのエコーに似ている。ただこのblastは、その日の気分によって吹きだしの形を変えたりすることもできた。
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※拾い物で恐縮ながら、②と表示されているところがblast

しかし、決定的な違いがあった。blastは上書きされてしまう仕様だったのだ。
あくまで「何気ないひとこと」を書くためのものだという位置づけだったのか、blastは新たに書き込むと前のものが消えてしまった。もちろん、個別のURLもない。
「履歴を残したかったら、短くても日記に書くだろう」スタッフはそう思っていたのかもしれない。
そのほかには「返信が投稿ではなくメッセージで行われる」という特徴もあった。

遅れること1年4ヶ月、2006年7月にTwitterが始まる。

その後の流れはご存知の通り。
かたや、膨大なデータベースからGoogleをも脅かす存在になろうとしているTwitterと、サービス終了はおろか、会社自体も傾きつつあるというYahoo!である。

もちろん、Followの概念だとか、積極的にオープン路線をとったことが勝因の大きな部分だろう。
しかし、もしあの時Yahoo! 360°が「blastを日記と同じように残せるようにしよう」と判断していたら、その頃のYahoo!の力を考えれば今頃Twitterはなかったかもしれないし、Googleと対等の力を持っていたのかもしれない。

ちょっと考えすぎかもしれないけど、ほんの些細な決定が、その後大きな違いをもたらす、ということは往々にしてあるのではないだろうか。
それは「最先端の技術の誕生」ということでなくとも、ちょっとした発想の転換によることもあると、この例が示しているように思う。

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