天下り対策のために、退職金控除の税制を見直すという手段


「官僚の天下り廃止」は鳩山政権の注目点のひとつだ。
天下りをすべて悪とみなすのは早計だけど、無駄を排除することは当然やるべきだろう。

そのために、個人的に「退職所得控除」の税制を見直すことは、割と効果的なのではないかと考えている。

退職所得控除というのは、文字通り退職金の所得にかかる税金を控除する制度のこと。控除というのは、簡単に言うと税金がどれだけ安くなるかということだ。
控除される額が多ければ多いほど有利なわけだが、退職所得控除は、その性質上「ゆるやかな課税」などといわれ、非常に優遇されている。

例えば、勤続30年で退職金が2,000万円だったとすると、

    800万円+70万円×10年=1,500万円
    2,000万円-1,500万円=500万円
    500万円×0.2-42万7千5百円=57万2千5百円

となり、もらったのは2,000万円でも、税金として徴収されるのはわずか57万円。実に1,943万円が丸々懐に入ることになる(計算式)。

これをそのまま所得税の税制に当てはめると、
    2,000万円×0.4-279万6千円=520万6千円

となり、所得税で520万円徴収され(住民税はまた別)、実に9倍以上となる。せめて税率を半分としても、
    2,000万円×0.2-42万7千5百円=357万2千5百円

で6倍以上だ。退職金が税金としてどれだけ優遇されているかが分かる(計算式)。

ちなみに、アメリカでは退職金も通常給与と同じ方式で課税される。

もちろん一概には言えず、税制は複雑(すぎるほど複雑)なのでこれだけやっておけばいいということではない。でも日本の風習として「長く頑張って耐えた人に、ご褒美を与える」という考え方が強く根付いているのは間違いない。
そして、これはやはり変えなくてはいけないと思う。

申し訳ないけれど、もうすぐ退職を迎えるような世代の方にも、この今の日本の負債を背負ってもらわないと、すべてを若い世代に回してしまうようでは、本当に日本はデフォルトすると思う。

あるいは相続税の税制に手を加えるという考え方もあるが、これは現段階でも決して軽くない税金がのしかかっている。年金でさえ段階的に減額されており、はっきりいってこのままでは破綻することが目に見えているのに、退職金制度は議論の対象にもならない。これは、若い世代にとってはずっと先の話だという意識の鈍さもあると思う。

「渡り」を行って、公益法人を渡り歩いて退職金をもらい続ける人も実際に存在する。
退職金控除制度が、ある意味では、利権を守ろうとする人々の「最後の砦」のような気がしてならない。

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