600グラムの命


友人夫婦が、予定より4ヶ月もの早産を経験した。

生まれてきた彼女(赤ちゃんは女の子)は、わずか600g。
入院中、家族以外は会うことはかなわなかったのだが、本当に手に乗るほどの大きさで、語弊を恐れずに言えば「ようやく人の形をしている」というほど小さかったという。

たまに送られてくるのは、小さな小さな鼻にチューブをつけて眠っている写真。
痛々しいその姿に、私たちはただ心配することしかできなかった。

お祝いを贈ろうにも、そんなことは誰も絶対に口にしないが、まさかの事態が起こった際、その傷を深くしてしまうのではないかと、皆自重していた。


そんな心配を余所に、彼女は力強く成長し、毎日付き添ったお母さんとお父さん、それに病院のスタッフの力で、本来の予定日である先日、晴れて退院した。
私たちは嬉々として夫婦の招待を受け、彼女に会いに行った。


その体はまだまだ小さく、触れたら消え入りそうにさえ思えた。
しかし時折あげる泣き声は確かに命の息吹であり、彼女の口からなら何よりも心が弾む音に聞こえた。


「がんばったね、えらかったね。お祝い遅れてごめんね」
と言葉にしながら、この子はこんな小さな体で、本当に頑張って生き抜いたんだな。私もしっかりしなければいけないなぁ……
なんて思った瞬間、突然涙が溢れてきた。

「何でお前が泣いてるんだよ」
と突っ込みつつもらい泣きしている友人の瞳に、あぁこいつらも本当に大変だったんだろう、それは想像を絶するほどだっただろうと思うと、もう止まらなくなってしまった。


力強さ、神秘さ、素晴らしさ……
言葉にすると陳腐だけれど、これが命なんだな、と改めて圧倒されてしまった。

迷うこともあるし、道を見失うこともあるけど、こうして懸命に生きる姿は何よりも尊いし、それだけで意味がある。


美男美女の夫婦らしく、顔の半分はあろうかという目をクリクリさせながら「この人なんで泣いてんだろ?」という表情で私を見る彼女に「お祝いが遅れたのはね……」と心の中で言い訳を試みたけれど、そんなことはすべて見透かされている気がした。


生まれてわずか4ヶ月の彼女に、とても大事なことを教わった日であった。

感傷的な、普通の日記になってしまってスミマセン。。

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