私がキーボードを愛する理由

私はキーボードが好きである。愛してやまない。
どんなキーボードであっても、ただ見ているだけで満たされるのだから、一種の偏執的で変態的な愛情といって差し支えない。

今まで何度キーを叩いたろう。今だってこうして叩き続けているし、机上ですべての指をキーに触れながら息絶えたら、それはそれで満足かもしれない。

「職人は道具を選ぶ」というが、我々にとっての道具とは、PCでありマウスであり、ディスプレイである。
そしてその中でも、指先というもっともセンシティブな部位で、自分の意志や思いのたけを形にして、外に叩き出すのがキーボードだ。

コンピュータが日に日に進化し、小さくなっているのにもかかわらず、キーボードだけはいまだもって形を変えない。
それを「キーボードの呪縛」と呼ぶ向きもあるが、私も確かに、どうにかしてもっと効率の良い革新的な入力デバイスが誕生しないものかとは思う。

しかし同時に、現時点でこのQWERTY配列のキーボードは、指先を通じて意志を伝える至高のツールであると感じている。携帯やスマホの入力がどれだけ速くても、キーボードの優秀さには絶対にかなわないのだ。

はじめてキーボードに目覚めたのは、同僚が触っていたFILCOのメカニカルタッチに触れた時だ。
PCに付属している純正のキーボードしか知らなかった私は、その小気味のいい打鍵感に衝撃を受けた。

矢も盾もたまらず、その週末勇んで量販店に赴いた私は、しかしいかんせん、メカニカルタッチは周囲に人がいる状況では音が出過ぎることに気づいてしまった。

悩んだ末、私は同じFILCOのmajestouchを購入することにした。
FILCO Majestouch2 108フルキー茶軸日本語配列 USB&PS2両対応 Nキーロールオーバー対応 独Cherry茶軸採用メカニカルキーボード ブラック FKBN108M/JB2
その快適さはいうに及ばず、キーの表面の象牙のような感触と、カッチリとした反発が私を陶酔させた。
あまりに酔い過ぎて、画面をロックして意味もなくキーを叩き続けたほどである。

そして時を経た今、この文章を叩くのに使っているのが、史上最高のキーボードと名高い、東プレのREALFORCEである。
東プレ Realforce108UDK 静電容量無接点USBキーボード 日本語108キーかななし 昇華印刷 墨モデル Nキーロールオーバー キー荷重ALL30g ブラック SJ38C0
しばらくmajestouchと並行して使っていたし、そちらの方が自分には合っていると感じていたが、今はこのREALFORCEの「史上最高」の意味が分かりはじめたように思う。

指に吸い付くようなキータッチ。
「スコッ」という、抜けるような打鍵感。
長時間叩き続けても疲れにくいメローな反発。
触れ続ければ、口よりも饒舌に何かを語ることができるような気さえする。

とはいえ決して安くない、むしろ高い買い物であるから一概には勧められないけれど、純正のキーボードしか使ったことがないという方は、一度量販店のキーボードコーナーで叩いてみてほしい。

今までのキーボード体験はなんだったのかというくらい、異次元の体験ができるはずだから。

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